多くのロシア人が日本に感嘆して、訪問を夢見ていることは秘密ではない。だが、夢の国に移住できるのは、本当に勇敢な人のみ。何が祖国を離れる決意をする人を動かすのか?憧れの国への態度は、移住後に変わるのか?異国で「内」に入り込むことは可能なのか?ある時日本を訪れ、永住を決めた若き女性起業家ユリア・エンヘルさんの歴史を語ろう。
© 写真: Yulia Enhel
ユリア・エンヘルさん(28)は、ロシア人ビジネスレディで、美しさと健康的なライフスタイルを追求する闘いに身を捧げる。エンヘルさんは会社を立ち上げ、スポーツや正しい食生活、身体のケアの仕方に関するビデオブログを続けている。彼女の成功が訪れたのは、初めて日本を訪れ、日本と人生を結びつけようと決意するほど日本に恋した後だという。現在エンヘルさんはモスクワと東京の2重生活を行っているが、今後の計画は日本に関係している。
ファーストインプレッション
「私が日本を初めて訪れたのはおよそ5年前。当時私はある多国籍企業で働いており、日本での海外出張に送られました。ですが、内心では子供の頃からこの旅行の用意をしていたように感じます。日本はその変わった鮮やかさと謎、歴史や文化で私に向かって手招きしていました。日本をまもなく訪れると知り、とても喜んで出張の用意をし始めたのを覚えています。
「東京に到着してまずしたことは、成田山新勝寺訪問でした。その寺について多くを読み、訪問を夢見ていました。偶然にも幸い、ちょうど炎の世界に往する不動明王への神事に遭遇しました。神事に参加して、儀式に用いる香閣でかばんをお清めできました。
驚くべき国に行くのだと頭では理解していましたが、あらゆる期待が叶いました。日本は違う世界で、ここの人々はまさに宇宙人です。この国では、周りの全てが理想的だと感じます!
「日本人とロシア人では異なる点のほうが断然多いですが、それでも共通点はあります。例えば、宿命論のような性質です。何かが上手くいかなければ、日本でもロシアでも「やれることはしたけど、上手くいかなかった」と言います。もう1つの類似点は、お酒好き。日本人は大酒を飲むことが好きで、仕事帰りにバーに立ち寄り、数杯飲みます。また、御存知の通り、日本からロシアにカラオケが入ってきたのです。金銭への態度も似ていて、金を最終的な目的とみなさないのです。」
「ですが何より日本で驚いたことは2つ、部屋に暖房がないことと、こたつです。マンションにセントラルヒーティングがあるのは北部だけ。他の地域はヒーターやエアコン、電気毛布にホットカーペットなどで自分であたたまるのです。ですが、こたつは私を魅了しました。各家庭にあると言われています。冷たい冬の夜に1つ机に家族みんなが集まって、温まることができるというのは素晴らしいですね!
ユリアさんは今、多くの時間をビジネスの拡大に割き、世界中を飛び回っている。しかし、人生と日本を結びつけると設定した目標達成は叶えた。そして、積み重ねたこの状況を変えたいとは思わないという。さて、文化やメンタリティーの違い、国境でさえ、夢の実現を阻むことなんてできるのだろうか?